【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
すれ違いざま、目が合ったような気がした。
もしかしたら私の勘違いかもしれない...
圭は私の存在にもうこれっぽちも興味ないだろうし。
でも私は...私は、一瞬で圭だと分かった。
流のお腹に回してる手が小刻みに震える。
流にはバレたくなかった。
今、すれ違ったバイクに乗ってた男が私の元カレだったなんって流が知ったら、きっとなにかしでかすに違いない。
...と、思った矢先。
いきなり急ブレーキをかけて来た道を戻る流。
「りゅう...!どこ行くの!!??」
流にしがみつきながら慌てて体勢を整える。
「今すれ違った奴ら、ちょっと煽りに行こうと思ってな!」
「ちょっ...!!やめてよ危ないし!!
ーーーそれに」
相手は圭だ。
いくら流が強いからって、暴走族の総長やってる圭に敵うはずがない...とは言い難い、正直流びっくりするぐらい強いし。
でも喧嘩売られて圭が買わないわけがない。
とにかく絶対めんどくさいことになる、それに一刻も早く圭のこと忘れたいし、今は圭をできるだけ視界に入れたくない。