【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
すかさず、流が私を守るように、目の前に立ち、父と目を合わせる。
「約束通り、決着つけて来ましたよ」
落ち着いた声で、流は言う。
突然、流が夜季を抜けることに、夜季の連中は
『神庭ならやりそうな事だ。』と、呆れるというよりは、妙に納得していた。
数ヶ月までは、確かに圭が総長を務めていたのだから、あまり抵抗はなかったのかも。
私は、それをちょっと残念に思ったけど。
不思議と怒りは感じない。
それなりに、流は総長として…ううん。
総長としてではなく、一人の人間として、皆と打ち解けようとしていたのだから。
だから皆、流を認めていることを、私は知っている。
認めているからこそ、自分勝手でも、文句の一つも出てこないんだ。