【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
でも。
「言ったろ…。
お前の様な男に、娘をやるつもりはないと。」
どんなに流が頑張っても
その頑張りを頑なに認めようとしない父に怒りが湧いてくる。
「どうして…?!
何かそんなに嫌なの?
お父さんは、なんで私の幸せの邪魔ばかりしようとするの…っ」
流の前に出て、こんどは私が父と目を合わせる。
父は変わらず無表情を貫くが。
「ムギ…落ち着け」
この中で一番冷静なのは、やっぱり流で。
怒りで震えている私の背中をさすってくれた。
だけど父は、そんな流を見て目を細める。
「そういうところだ…」
父が蚊の飛ぶような、小さな声で呟くから
驚いて流も私も顔を上げる。
「お前のそういうところが気に入らないんだよ。
娘が縋るのは、結局お前で。
私達には反攻ばかりする娘が、なぜお前には甘えるんだ…っ」