【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「ごめんなさい…いい子じゃなくて、嫌いって言って……ごめんなさい…っ!」
親への謝り方を忘れた子供は、ただ素直になれていないだけで
本当は分かり合いたいって、心の底から思っている。
目から頬へ滑り落ちてくる涙の様に、勝手に言葉がポロポロと口から出てくるもんだから、止める必要もなく。
別に、恥ずかしくても、何でも、よかった。
単純に、謝りたかった、ただそれだけなんだ。
「つむぎ…っ、私の方こそごめんなさい。
ちゃんと……大事にしてあげられていなかったね」
お母さんが私を抱きしめる。
流が空気を読んで人間二人分の間を空けた。
お父さんは相変わらず俯いたままだけど。
「悪かった…」と、この耳に届くか届かないか賭けをしている様な、本当に小さな声で呟いていたことを、賭けに勝った父の低い声は、ちゃんと私に伝わっている。