【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー





「今度は私が流を護る番だね…。」


「…っ」


流の目が大きく見開く。

流の綺麗な顔が崩れてしまいそうなほどに歪む。

けど、美しさを身に纏った切なさは、溢れてしまいそうだと言わんばかりに、流が薄い唇を開いた。



「もう充分だムギ…っ。
 もう充分、俺はお前に救われてる」


流の声が、揺れているのが分かった。


別に悲しくないのに

寂しくもない。寂しさはもうとっくの……ううん、流の存在を感じ始めたあの日から、なくなっていたね。



この小さな身体で、あなたを抱きしめてみた。


体は小さいけど、心は大きいよ。
だって流への想いが、この心を動かしているのだから、自然に膨らんだんだ。



「流…大好き」


「…っ」


「私達、きっといい…家族になれるよ」


「……急にプロポーズすんなよ」


「今言っとかなきゃ、いつ言うのよ」


「…ハッ、ムギちゃんも、言うようになったねぇ」



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