【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「男の袖を掴むとは...男心を掴むのがうめえじゃねーか、ムギ」
寝ぐせで跳ねまくった髪の毛を綺麗に洗面所で整えたばっかりなのに、すぐに流の大きな手でワシャワシャと乱された。
その手が今度はグーの形に変わって、私の胸元近くにトンっと触れる。
「自信持っていけ。
お前になにかあったらこの俺様が必ず助けてやるよ」
「りゅう...」
「こう見えて結構気に入ってるんだぜ?お前のこと」
「...それって告白?」
「バーカ、この俺様のハートを簡単に射止められると思うなよ?
射止めたいならもうちょっと太れ、俺は少しぽっちゃりした女の方がタイプだ」
「...」
なにもかも、圭とは正反対の流。
圭が痩せてる方が好きだって言うから
過度なダイエット頑張ってたけど、そのせいであんまりご飯食べられなくなっちゃった。
でも流がもうちょっと太れって言うなら...そうしようかな。
別に、流のタイプになりたいとか、そういうわけじゃないけど
今はそばにいてくれる流の方が...ずっと大切だから。
「りゅう、私、帰ったらいっぱいご飯食べるから」
「たりめーよ、何日もまともに食ってなかったしな。
じゃあな、ムギ」
「うん、バイバイ!!」