【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
手を振ってバイクで走り出す流。
流が見えなくなるまでずっと後ろ姿を見つめていた、ずっと。
流からもらった勇気を無駄にしないように
爆発寸前の心臓の音を聞きながら教室に入った。
イヤでも真っ先に視界に入ったのは当然圭で。
私と目が合ってすぐに眉間にシワを寄せる圭は、ピリピリと不機嫌なオーラを私のところまで漂わせた。
怖い...
でも、大丈夫。
ここは教室だし、いくら圭でもこんな大勢の前で私と喧嘩するみっともない姿なんて見せたくないだろうし。
「おはよー紬!!
今日はちゃんと学校来たんだね!!偉いぞー!!」
「梓(あずさ)おはよう、相変わらず朝からテンション高いね」
「そりゃあ毎日朝早くから走ってますから!!」
自分の席に着く私の肩を軽く叩いてきたこの子は
翔田梓(しょうだ・あずさ)。
大和撫子並の綺麗な髪質に三つ編みが良く似合う愛嬌抜群の私の親友。