【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
スッ、と。
圭の綺麗な手が私の頬に伸びてきて触れる。
圭に捨てられたあの日、どれだけこの手が恋しかったか。
だから余計に、簡単に私に触れてくるこの手が許せない。
ーーーパンッ!!とおもいっきり圭の手を払い除けて、眉間にシワを寄せ睨む。
失恋した女ってけっこう強いのかもしれない。
好きで好きでたまらなかった人にでさえも牙を向く。
「私は...もう圭の”モノ”じゃないから触らないでよ!!
あんなひどい振り方したくせに...」
「ずっと隣にいた奴がいなくなるって、けっこう寂しいもんなんだな。
お前の居ないあのアパートは抜け殻みたいでけっこう寂しいもんだ」
「嘘ばっかり...本当は私のことなんかより
流のことが気になってるんでしょ?はっきり言えば?」
「フッ...お前はほんと勘のいい女だ。
じゃあ率直に言うが、神庭を夜季に入れたい」
「ーーーーッ!!??」
「ありゃあ大物になるぜ?
そのためには紬、お前の力が必要だ。
神庭の女であるお前が神庭に夜季に入るよう伝えろ」
「なっ...?!流が暴走族に入るわけないじゃん!!
流は暴走族嫌いなんだよ?
いきなりすぎるよ、頭おかしいんじゃないの?」