【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
ーーー着いた。
今なら爆発するかもしれない心臓という名の爆弾を抱えて、やってきた場所は山の近くにある薄気味悪い夜季の倉庫。
シャッターは相変わらず閉まってる、開いてる時なんて滅多にない。
けど、シャッター越しから聞こえてくる笑い声...中に人は居るみたい。
さて、ここからどうしようか。
とりあえずスマホで圭を呼び出す?
...だめだ、圭と1体1なんて
それこそ圭の思うツボ。
二人っきりになんて絶対イヤ
また恋心を利用されてしまう。
...それじゃあ、やっぱり、これしかないね?
ジャリ...っと足元で鳴る砂がついた石の塊を拾ってシャッターに向かって投げた。
ーーーカンッ!!!!
ーーーカンッ!!!!
ーーーカンッ!!!!
こんな小さな音じゃ、外に漏れるくらい大きな笑い声で笑ってる奴らに気づいてもらうのは難しいだろうけど。
それでも投げた、ムカつくから
圭の彼女だった頃は守ってたくせに
圭の彼女じゃなくなったあの日から
私の存在を無にしやがって。
透明人間、元から居なかったような存在にされたことが本当にーーーームカつく。