【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「この世界は強いヤツがすべてだろ...?
夜季がこんなデケェ族になれたのも、バックに総長(流)がついてたからだ。
いい加減気づけよお前ら」
言いながら、壁からゆっくりと離れる圭のその手は血だらけだった。
夜季の皆にとって圭が絶対的存在であるように
圭にとっても流は絶対的存在なんだ。
でも...でもさ
こんなの違うじゃん。
みんな、圭だから、圭を信じてここまでついてきたのに。
いきなりボスが違う人だなんて知ったら、そりゃあビックリするし泣きたくもなるよ。
「流、みんなに謝りなよ」
下っ端たちの気持ちを考えたら胸が痛くなって、勇気を振り絞って言った。
一人、空気を読まない私に、倉庫内がまたザワつく。
でも目を細めながら、私の発言に先に反応したのは流じゃない、圭だ。
「...おい紬、お前さっきから調子乗ってんじゃねーぞ?」
「別に乗ってないよ。だって普通に考えておかしいじゃん。
こんなのひどいよ、仲間に黙ってるなんてさ。
最初っから流が総長だって公開しとけば、みんなこんな複雑な気持ちにはならなかったと思うし」
「女が男の世界に口出ししてんじゃねーよ」