【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「やっぱ覚えてるか...イヤでも忘れてくれてると有難かったんだけどな」
頭を掻きながら流は苦笑い。
こっちだって嫌でも忘れたかったよ、こんな知りたくもなかった現実。
手を差し伸べてくれたはずのヒーローが、実は悪役側だったなんて
こんな裏切られ方はじめてだ。
ほんっと流って、圭よりタチ悪い。
好きに...なりかけてたんだよ?
かっこいいなって。
素直に、圭なんかより優しくて自分を持ってて
厳しいこと言っても、なんだかんだ甘やかしてくれる流の隣は本当に心地よかった。
でももう...そんな感情には浸れない。
だって流は、圭を従えてる夜季の総長だから。
「今まで良くしてくれてありがとう...。
わたし今日でこの家出るから、流とはなにも...なかったことにする」
「...」
「全部...忘れる」
やっと口を開いた私と黙り込む流。
肌触りの良いシーツを捲ってベッドから降りようとした
ーーーけど。