【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
早く助けたのに助けてあげられない。
手を伸ばしても届かない距離、こんなにも悔しいことってある?
やだよもう...ムカつく、ムカつくのよこの手錠ッ
こんなものなくたって、きっと私は流から離れなかったかもしれないし...
ーーー逃げられなかったと思う。
お家に帰るなんて嘘ついた。
多分流の気を引こうと、あの時はそれでいっぱいいっぱいで。
だって流が私に嘘つくんだもん...
もしかしたら私のこと心配してくれてた事さえ、それさえも嘘だったのかもって考えると、胸が苦しくなったんだもん...。
いやだ。
流が死ぬなんて嫌だ...やだよ...っ。
彼の存在がなくなるのを必死になって止めようとする私は、もうすでに彼に依存しているのかもしれない。
ヤケクソになって、ガチャガチャ無理矢理手錠を取ろうと必死になるけど、手首の皮が剥げただけで手錠は取れない。
無力さを噛み締める
居なくならないように私に手錠をかけた本人が、いなくなろうとするなんて。
ほんと...流なんて嫌いだよ...バカッ...
いくら嘘ついても、いくら酷いことしてもいいから
死ぬのだけはやめてよ...それが1番痛いんだよ?