【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
数秒後に「スゥー...」と聞こえてくる寝息。
「寝ちゃった...」
安心しきった顔で眠ってる流を見てホッと一息つく。
ほんと...人騒がせなんだから、バカ流。
もう手錠もなにも付いていない
流だって深い眠りについてるし、今なら確実に逃げられる。
でも不思議と逃げようとは思わなかった。
普通にそばにいてあげたいし
普通に朝起きて、彼の元気な姿を見たい。
ほんとにそれだけ、多分...それだけ?
「好き...かも...」
流の寝顔を見下ろしながらボソリと呟く
が、数秒後に赤くなる顔
...なに言ってるんだろう私、恥ずかしいヤツ。
ぐっすり眠ってる流を起こさないように音を立てずにそーっとそーっと部屋から出た。
救急箱を棚に戻して流の血で汚れた床を、真っ白な雑巾で綺麗に拭いたら、絵の具の色では表せられないくらいに本物の血の色に迫力さえ感じる。
逃げようとか...これっぽっちも思ってないけど、何日も家から出てないとやっぱり外が気になる。
玄関をいちいち気にしながら後片付けをした。