【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー






信じられない...


刺されてこんなに愉快にゲラゲラ笑う男がこの世に存在するとは。



世も末だ...。




「まあ、俺の反射神経がよかったのもあるが、山崎の手も震えてたしな。
そんな深くは刺さってないぜ?おかげさまで病院行かなくて済んでる程度の傷だ」



親指を立てながら、指先を胸にトントンと2回突いた流は、刺されても生きてるぜって。
笑い事では済まされないことなのに、なんだか誇らしげな表情を浮かべる。



そんな流を見て、心配した自分が馬鹿みたいだと。
恥ずかしくなって、流に布団を被せて、私は流の大好きなオムライスを作りにキッチンへ。



ふわふわでとろとろ。


こだわりすぎて出来上がったオムライスは
多分今までの中で1番上手くできた。


卵がキラキラって。
美しい黄色を輝かせながら私の食欲までそそる。



「流、はい!出来たよオムライス!!」



さすがに怪我人にリビングまで足を運んでもらうのは気が引けるから、仕方なく寝室で食べさせることに。



オムライスの匂いが部屋に染み付いちゃうことだけを気にしながら、上半身だけ起こす流にお皿を渡すと



「...ケチャップでハートが描かれてねえーぞムギ」



訳わかんないことを言われて開いた口が塞がらない。



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