【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
ゆっくりと、タオルを流の体に滑らせて綺麗にする。
化粧水やらパックやら、美容に少しだけお金をかけてる私なんかより
自然なきめ細かい流の肌にちょっとだけ嫉妬してみたり。
お喋りな流が珍しく黙り始める。
気まずさに気まずさを重ねて、ずっと聞きたかったあの事を話題にする。
「流は...なんで仲間に隠してまで夜季の総長なんかやってるの...?」
あの夜から聞きたくても聞けなかったこと。
ずっと聞きたかったけど
聞くタイミングが分からなくて、放置してた。
でも、やっぱり、気になるものは気になるんだよ。
「んー、別に下っ端共に隠す必要なんかなかったけどな。
俺は総長がやりてーんじゃなくて、そもそも喧嘩がしたかっただけだし」
「喧嘩...?」
「そう。
言ったろ?俺、暴走族嫌いだって」
「でも...っ、それじゃあなんで暴走族になんか...」