路信の事は知っとけ!
1992年の秋、大学2年の佐治鹿乃子(さじかのこ)(20歳)は高校からの友人畑野(はたの)千沙(ちさ)と大学で知り合った中林(なかばやし)百合奈(ゆりな)とでイタリア旅行を計画していた。
女子大生にとっては思い切った旅行である。
千沙の幼馴染みで二回のイタリア渡航経験を持つ夏井(なつい) 純佳(すみか)を紹介され、同行して貰う事になった。
純佳は子供の時から千沙と仲が良かったのだが、なぜ千沙が高校で知り合ったトロくさい鹿乃子を可愛がり、大事にするのか分からず 鹿乃子を疎(うと)ましく思っていた。
4人で出掛けたイタリア・フィレンツェ旅行。
三日目にそれは起きる。
4人はナポリで新鮮なシーフードディナーを食べるために出掛けようとサンタマリア駅に向かう。
鹿乃子はフロントに列車のチケットを忘れた事に気付き、まだ時間もあり 駅に程近いホテルだったので探しに戻った。
その時、列車のホームの番号を純佳に尋ねた。
この旅行の企画もスケジュールも全てを任されていた純佳は鹿乃子のミスにイライラしていた。
ほんの軽い意地悪のつもりだった・・・。