ぽっちゃり幼なじみはオオカミくんでした。
目を覚ますとそこは病院だった。
「響…くん?」
私のすぐ側で手を握って俯く響くん。
「亜実!?目ぇ覚めたのか?大丈夫か?」
「うん…まだズキズキするけど…なんとか」
「よかった…ほんと…」
「さっきね本当かどうかわからない夢みたいなの見たの…響くんが泣いててね、そっと私にキスしたの。」
「……夢だよ。」
「だよね。」
本当に夢なのかな。
夢で響くんの涙がつたった頬をなぞりながら朦朧とする頭で考えた。
「響くん、私ね、響くんの事必死に応援してたんだけど、聞こえてたかな」
「うん…」
「そっか、よかった。他の女の子の方が声大きいから聞こえてないかと思っちゃった。」
「なわけねぇだろ。何年お前の声聞いてると思ってんだよ。
お前の声ぐらいすぐにわかる。」
「ふふ…うれしいなぁ……」
嬉しくて涙がこぼれた。
「泣くなよ。こっちまで悲しくなんだろ」
「嬉し涙だもんいいでしょ」
響くんへの気持ちちゃんと届いたらいいのに…
でも響くんにはきっと幼馴染としか見えてないんだよね。
恋人にはなれないんだろなぁ…