ぽっちゃり幼なじみはオオカミくんでした。
< 響side >


なんか、逃げるみてぇに出てきちまった。

亜実、泣いてた。

俺亜実の泣き顔はどうしても見たくねぇ。

大和には悪ぃけどやっぱどうしようもないくらい亜実の事が好きだ。

大和にちゃんと謝ってわかってもらおう。


もう迷いなんてとっくになくなった俺は病院の前で大和が出てくんのを待っていた。


少しして病院から大和が出てきた。


「大和…俺……やっぱり亜実の事避けらんねぇよ。
教室であいつの顔見るたび話してぇし、亜実をずっと側で見ていたいんだ。
大和が亜実の事大事に思って言ってる事だってよくわかるし、俺がこんな格好になって不安だって事もよくわかる…
だけど、大和が亜実を大事で好きだって思う見てぇに俺も亜実が好きで仕方ねぇだ…
だからあいつのそばにいる事許してください。」


大和の前にでると勢いよく言いきった。


「うわ、ビックリした…まさか響が謝るなんて。
悪いのは俺の方だよ、引き裂くみたいな事してさ、亜実の気持ち聞いて目が覚めたよ。
こっちこそ悪かった、本当にごめん。」


まさかの展開に俺はビックリした。


「大和の事だから殴られるかと思って覚悟してたんだけど…」

「最初はそう思ってたよ。
でもさっき亜実に泣いて響くんに謝ってって頼まれて、あー俺が守るためにやってた事は間違いだったんだってわかって。
だからやめた、
響と亜実の事応援するよ」

「応援?」

「うん、響も亜実の事好きなんだろ?」

「……す……」


ここにきても俺はまた好きだの言葉を言うことをためらってしまった。


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