先生の10歩うしろ
一章
1.
桜の花びらが偉そうに上から舞い降りて、道路を派手に色づけてゆく。
「おーーい、このはーー!」
「あ、おはよ、穂乃花ちゃん」
花びらを豪快に蹴りながら、穂乃花ちゃんが元気よく後ろから走ってくる。
「このはって、朝来るの早いんだね?」
「うん、私教室に一番乗りするの好きなんだ」
「へえ、私の中学はそんな子いなかったよ~」
二人で校門をくぐり抜け、1年5組の教室に向かう。
高校に入学して、あっという間に二週間がたってしまった。入学前は知り合いが誰もいなくてあんなに不安だった私。でもすぐに、同じクラスになった佐川穂乃花ちゃんと友達になることができた。
「もう私、本当に穂乃花ちゃんに会えてよかったよ~」
「何、いきなりどうしたの?」
穂乃花ちゃんが隣で微笑む。
「いや私、人見知りだから…穂乃花ちゃんがいなかったら、高校生活どうなってたことか……」
「そんなぁ、礼には及ばんよ!」
あはは、と笑い飛ばす穂乃花ちゃんの笑顔は、ひまわりのようだった。
ガラッ。
「あ、このはと穂乃花だ!おはよう」教室のドアを開けると、これまた入学して早々、仲良くなれた相沢美樹ちゃんが窓側が駆け寄ってきた。
「おはよう、美樹ちゃん!」
「相変わらず綺麗だね~あんたは。」
穂乃花ちゃんが、美樹ちゃんをマジマジと見つめる。
「やだ、何言ってるの穂乃花。」
いや、穂乃花ちゃんの言っていることは決してお世辞でも皮肉でもない。私も思わず美樹ちゃんを見る。
スッと伸びた黒髪に、白い美肌の上に連なった大きな目と高い鼻。おまけにモデルのような高身長。誰がどう見たって、正真正銘の美少女だろうな。
「そんなことない、みんなかわいいじゃない」
少し天然で優しいから、女子からも好かれるタイプだ。現に私も、大好きだし。
「今日は高校初の体育があるね」
美樹ちゃんが思い出したように、体育着の袋を持つ。
「うわぁーそっか!寒そう、私髪短いから、首もとも死んじゃう!」
苦い顔をして、穂乃花ちゃんが頭を抱えた。その姿に私は笑ってしまう。
「春とはいえ、まだ4月だもんね。」
そう、まだ4月。高校生活はこれから始まるんだ。
あなたとの出会いも、この春でした。
桜の花びらが偉そうに上から舞い降りて、道路を派手に色づけてゆく。
「おーーい、このはーー!」
「あ、おはよ、穂乃花ちゃん」
花びらを豪快に蹴りながら、穂乃花ちゃんが元気よく後ろから走ってくる。
「このはって、朝来るの早いんだね?」
「うん、私教室に一番乗りするの好きなんだ」
「へえ、私の中学はそんな子いなかったよ~」
二人で校門をくぐり抜け、1年5組の教室に向かう。
高校に入学して、あっという間に二週間がたってしまった。入学前は知り合いが誰もいなくてあんなに不安だった私。でもすぐに、同じクラスになった佐川穂乃花ちゃんと友達になることができた。
「もう私、本当に穂乃花ちゃんに会えてよかったよ~」
「何、いきなりどうしたの?」
穂乃花ちゃんが隣で微笑む。
「いや私、人見知りだから…穂乃花ちゃんがいなかったら、高校生活どうなってたことか……」
「そんなぁ、礼には及ばんよ!」
あはは、と笑い飛ばす穂乃花ちゃんの笑顔は、ひまわりのようだった。
ガラッ。
「あ、このはと穂乃花だ!おはよう」教室のドアを開けると、これまた入学して早々、仲良くなれた相沢美樹ちゃんが窓側が駆け寄ってきた。
「おはよう、美樹ちゃん!」
「相変わらず綺麗だね~あんたは。」
穂乃花ちゃんが、美樹ちゃんをマジマジと見つめる。
「やだ、何言ってるの穂乃花。」
いや、穂乃花ちゃんの言っていることは決してお世辞でも皮肉でもない。私も思わず美樹ちゃんを見る。
スッと伸びた黒髪に、白い美肌の上に連なった大きな目と高い鼻。おまけにモデルのような高身長。誰がどう見たって、正真正銘の美少女だろうな。
「そんなことない、みんなかわいいじゃない」
少し天然で優しいから、女子からも好かれるタイプだ。現に私も、大好きだし。
「今日は高校初の体育があるね」
美樹ちゃんが思い出したように、体育着の袋を持つ。
「うわぁーそっか!寒そう、私髪短いから、首もとも死んじゃう!」
苦い顔をして、穂乃花ちゃんが頭を抱えた。その姿に私は笑ってしまう。
「春とはいえ、まだ4月だもんね。」
そう、まだ4月。高校生活はこれから始まるんだ。
あなたとの出会いも、この春でした。