エンドレスおままごと。
はじまり
☆
『18時すぎには帰るよ』
『りょーかい。気をつけてね♡』
放課後は、高校を出てスーパーに直行。
鶏のもも肉タイムセール戦に勝利したわたしは、制服スカートを揺らしながら玄関ドアを開けた。
帰る場所は、2人暮らしには狭い1DKの部屋。
ここがわたしたちの愛の巣、とか言ってみちゃったりして~。
……って、浮かれてる場合じゃない。
早くご飯作らないとなおくんが帰ってきちゃう!
洗濯物がたまってないことを確認してから、制服のままエプロンを身に着け台所に立つ。
ぱちぱちと油の泡がきつね色に絡みついていく。
菜箸で最後のいっこを拾い上げた時、ガチャリ、と鍵が開く音がした。
火を消してから、わたしはその音の方向へ走った。
「おかえり!」
「うん。ただいま」
その姿を見るだけで、嬉しさが笑顔となってあふれ出してしまう。
つられて、わたしの大好きな人――なおくんも、はにかんだ表情になってくれる。
「なおくん、おかえりのキス」
「……ん」
まだ新品に見えるスーツを着たなおくんは、目を閉じたわたしに優しくキスをしてくれた。
その後、すぐにぎゅーっとわたしを包み込んでくれた。
これが幸せすぎる、わたしたちの日課。
< 1 / 46 >