エンドレスおままごと。
「ヨメは卒業したらどうすんの?」
そう聞かれ、はっと我に返った。
「え? なんか言った?」
「今さら聞くことじゃなかったかー。ヨメは名前の通りお嫁さんになるんだもんねー」
「……え、うん! そうだよ。えへへ~」
「いいなぁ~永久就職じゃん。子どもはまだですかー?」
「ちょっとやめてよ~恥ずかしいから! それより、看板のタコさんこんな感じでいい?」
今描いたばかりのタコの絵を見せてみた。
昔、図鑑や水族館で見たタコってこんな感じだったよな。
ささっと描いた割には上手くできた気がする。
って。あれれ?
「…………」
わたしの絵を見て、設営係たちはぽかーんとしていた。
「ちょ、そのタコ、リアルすぎじゃね?」「マジのオクトパスじゃん! 子どもがひいちゃうよ!」
と、次第に女子から悲鳴が上がっていく。
おおう、そりゃそっか。近所の子どもたちもたくさん来るからなぁ。
じゃあ、映画のキャラクターっぽくしてみるか。
別の紙にメタリック調にアレンジしたタコを描いてみた。
すると、レベル高ぇ~、タコの域超えてる~などと感嘆の声があがった。
というわけで看板の案は無事完成。
男子が倉庫から持ってきたベニヤ板には、体育祭のペイントがされたままだったため、白く塗装してから絵を描くことに。
新聞紙を床に敷き、みんなで雑談しながらベニヤに白いペンキを塗っていく。
「指輪、したままでいいの? 汚れるよ」
隣でハケを動かしているミシマがそう話しかけてきた。
よけーなお世話ですー、と憎まれ口を叩きながら、わたしは指輪をポーチにしまった。