エンドレスおままごと。
みっつ
☆
やばいやばい、色塗りに夢中になってた。そろそろ帰らなきゃ。
手にしたバケツに入っているのは、いろんな色が混ぜ込まれて濁った水。
こぼさないよう気をつけながらも、走って手洗い場に運んでいた、
その時――
「わわっ!」
「キャッ!」
トイレから出てきた女子軍団にぶつかりそうになった。
うねりをあげた水面は、バケツからあふれだし飛沫となる。
そのまま、びちゃーんと廊下に勢いよく水をばらまいてしまった。
彼女たちにはぶっかけずにすんだけど。
「ごめん! 大丈夫? かかってないよね?」
慌てて彼女たちに向けて謝る。
うわぁ。よりにもよって、いい噂を聞かない女子たちだ。
「うわ、汚っ」「これ制服かかったらマジだるいやつじゃん」
「危ないよー。ちゃんと前見なよ」
女子たちは順番に怪訝そうな顔でわたしを見た後、廊下の色水だまりを踏まないよう去っていった。
「あいつ浮かれすぎなんじゃね?」「卒業したら専業主婦だって」「うわ、それマジ人生イージーモードじゃん?」「うちは結婚とかまだムリ。遊びたいしー」「うっそ、あたしは早く主婦なりたーい。働きたくないじゃーん」
クスクスとした笑い声とともに、そんな話をしながら。