エンドレスおままごと。
☆
「いいよー。1人で帰れるって」
「遅くなったし送るよ。お前に何かあったら俺旦那にころされる」
「実はさ、さっき家、飛び出してきちゃったんだよね」
「何? 早くも離婚の危機?」
「違うって! ただケンカしただけだし。ってかまだ結婚前だから!」
猛スピードの光が行き交う国道沿いをミシマと歩いた。
ミシマは超マイペース系だし、恋バナ興味なさそうなのに。意外と突っ込んでくれて面白かった。
だからか、本音がぽろりとこぼれてしまった。
「なんだか、難しいね」
「ん?」
「一緒に暮らすって大変なんだね。ケンカしても、わたしなおくんのとこしか帰るとこないから」
「よくわかんないけど、それが夫婦ってやつじゃないの?」
「まあそうだけどさぁ。なんか、結婚って大変なんだなーって。普通に付き合ってた頃の方が楽しかったなーなんて」
「それ、マリッジブルー?」
「ええっ? そうなのかなー。……あ」
なおくんとよく行っていたカフェの前を通った時。
言葉も足も急に止まってしまった。
店内は明るい。外から中の様子がはっきりと見えた。
どく、どく、と心臓が嫌なリズムを刻んでいく。
お客さんが少ないテーブルの奥に見えたのは、
知らないスーツ姿の女性と、なおくんだった。
――どうして、わたしとのケンカ中に、他の女性と会っているの?