エンドレスおままごと。







「いいよー。1人で帰れるって」


「遅くなったし送るよ。お前に何かあったら俺旦那にころされる」


「実はさ、さっき家、飛び出してきちゃったんだよね」


「何? 早くも離婚の危機?」


「違うって! ただケンカしただけだし。ってかまだ結婚前だから!」



猛スピードの光が行き交う国道沿いをミシマと歩いた。


ミシマは超マイペース系だし、恋バナ興味なさそうなのに。意外と突っ込んでくれて面白かった。



だからか、本音がぽろりとこぼれてしまった。



「なんだか、難しいね」


「ん?」


「一緒に暮らすって大変なんだね。ケンカしても、わたしなおくんのとこしか帰るとこないから」


「よくわかんないけど、それが夫婦ってやつじゃないの?」


「まあそうだけどさぁ。なんか、結婚って大変なんだなーって。普通に付き合ってた頃の方が楽しかったなーなんて」


「それ、マリッジブルー?」


「ええっ? そうなのかなー。……あ」



なおくんとよく行っていたカフェの前を通った時。


言葉も足も急に止まってしまった。



店内は明るい。外から中の様子がはっきりと見えた。



どく、どく、と心臓が嫌なリズムを刻んでいく。



お客さんが少ないテーブルの奥に見えたのは、


知らないスーツ姿の女性と、なおくんだった。



――どうして、わたしとのケンカ中に、他の女性と会っているの?


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