エンドレスおままごと。
その女性は、テーブル越しにぽんとなおくんの肩を叩く。
なおくんは照れたような笑顔を浮かべ、申し訳なさそうに頭を下げていた。
それからなおくんはその女性を見つめながら、楽しそうに話を始めた。
「……っ」
あんな顔したなおくん、久しぶりに見た。
ショックで膝に力が入らなくなる。
一歩、後ずさりをした時。
「あれ、浮気?」
「ち、ちがうよバカ! たぶん職場の先輩!」
頭によぎった2文字を言われてしまい、カッとなってしまった。
でも、ミシマはぼそりと言葉を続けた。
「去年、部活終わりにお前と帰ってる時と、同じ顔してる」
「…………」
ミシマのくせに、さらっと言い当ててきた。
慌てて否定するところだったけど。
そうだ。彼の言う通りだ。
あれは、わたしが良く知っていた、なおくんだ。
「ってか何でミシマが知ってるの?」
「見せつけられてたから。俺」
は? と聞き返す前に、びりっと体に電気が走った。
窓越しになおくんと目が合った、気がしたから。
だけど、わたしの旦那さんになるはずの人は、すぐにその女性との会話に戻っていった。
夜、わたしが1人ベッドに入った頃に、なおくんは帰ってきた。
寝たふりをしていたわたしに触れることなく、布団を引っ張ってから彼は眠りについた。
彼の寝息がやたら耳に障り、その日はほとんど眠れなかった。
どうしてあの女性には簡単に笑顔を見せるの?
わたしだっていつも頑張っているのに。