エンドレスおままごと。
「ちょっと暗いなー。もう1回撮る」
透明を残したまま、赤や青に染まった水しぶきを背景に、
顔を近づけて写真を撮る。
「あっちもきれい! 行こう」
「俺も撮ろうかな」
なおくんは先に走り出したわたしを撮影していた。
振り返ると、もう1ショット撮られた。
「ちょっとーわたしだけじゃなくて、2人で撮ろうよー」
腕を引っ張って、なおくんのスマホを奪い取り、思いっきり顔を近づけてシャッター音を鳴らした。
それからお互い撮った写真を眺め合う。
「このよねこ、いい表情してる」
「だって楽しいもん」
「かわいい」
「えへへ。あ、この写真のなおくんかっこいい」
「本当だ。実物並みにイケてるかも」
「自分で言ってるしー!」
あははー、と2人で笑い合いながら、カップルだらけの空間を進む。
夢の国ほどじゃないけど、結構混んでいる。
人ごみは苦手なのに、手をつないだままなおくんは笑っていた。
「あれも乗りたいなぁ。ってなおくん絶叫系ダメだったよね……」
「や、頑張るわ。行こう」
たくさんわたしのわがままを聞いてくれた。
「おなかすいたー」
「何食べたい? よねこの好きなのでいいよ」
高校生の頃や一緒に暮らし始めた頃は、時々遠出してデートしていた。
あの時にタイムスリップしたかのような気持ちになる。
わたしははしゃいでいて、なおくんは優しく見守って、付き合ってくれて。
『よねこが楽しそうだったら、俺も楽しい』と言って、ぽんと頭を撫でてくれて。
そんな、あったかいなおくんが、わたしは好きだ。