エンドレスおままごと。
ひとつ
☆
夏が終わり、高校最後の文化祭の季節がやってきた。
お好み焼き、焼きそば、クレープ、という文字に×がつけられ、たこ焼きの4文字が大きな丸で囲まれる。
「じゃあうちのクラスはたこ焼きに決定しまーす。みんなやりたい仕事のとこに名前を書いていってくださーい。多いとこは調整するんで」
文化祭委員がそう言い終えると同時に、ガタン、ガタン、と椅子の音が重なった。
わいわいと楽しそうな男女の間をすり抜け、わたしも黒板へと向かった。
うーん。どの係になろうかな。
調理係だと買い出し行ったり試作品作ったりで、夜遅くなっちゃうかも。
販売係はテンション高い人多いし、疲れて家でご飯作る体力なくなりそう。
というわけで。
設営係、の文字の下に『中川よねこ』と自分の名前を書いた。
すると、すぐ隣に『三島和成』という文字が並んだ。
「……げ。一緒? なんで?」
「こういうのは元美術部の仕事じゃん」
ぼそりと放たれた彼――ミシマの言葉は、クラスメイト達のボリューム高い声たちにかき消された。
……ということにしておいた。