エンドレスおままごと。
「思い出して。よねこを好きになった時のこと」
「えっ、そうなの?」
「美術室のすぐ外。サッカー部がいつも荷物置いてたじゃん」
「うん」
「すげー真剣に絵描いてる女子いるなって。どんだけ外でサッカー部が騒いでても、全然聞こえてないみたいで」
「なおくんだって、サッカーしてる時いっつも真剣だったじゃん。わたし部活の休憩中、よく見てたよ」
「まあ、やるときは俺も集中するから」
わたしたちは部活の帰りの時間が同じくらいで。
目が合うようになって、あいさつするようになって。
いつの間にか、お互い惹かれ合っていて。付き合い始めて。
それからわたしの幸せな日々が始まったんだ。
「俺が引退して、美術室によねこ迎えに行くじゃん。帰ろう、って声かけても普通に無視されたし」
「やめてよ。恥ずかしいんだけど」
顔を熱くさせながらも、なおくんの大きな肩にもたれた。
彼もまた、わたしの肩に置いた手に力をこめた。
今、2人の距離をより近づけてくれたのは、楽しかった過去だった。