エンドレスおままごと。
☆
泊まったのは、高そうなホテルの高そうな部屋。
抱きしめ合いながら、2人でふかふかのベッドになだれ込んだ。
すごく気持ちいいことをしているはずなのに、どうしても溺れきることができなかった。
高校時代のなおくん、一緒に暮らし始めてからのなおくん。そして、今、目の前にいるなおくん。
いろんな彼に交互に抱かれているようだった。
「よねこ」
眠りにつこうとする前。
大好きなはずの彼は泣きそうな声でわたしを呼んだ。
「……ん?」
「優しくできなくて、ごめん」
シーツがこすれる音を出し、わたしはなおくんの方を向いた。
彼はぼんやりと天井を眺めていた。
「よねこを幸せにしたい、いい旦那になりたい、もっと稼げるようになりたい、子どもがほしい、とか、俺にも理想があった」
「うん」
「でも、実際やってみると、両立させるのがこんなに難しいとは思ってなかった」
「え……」
これ以上、聞きたくない。直感でそう思った。
でも、なおくんは手の甲を目に当てていたから。
本音がこぼれ落ちるのだとしたら、覚悟を持って受け止めなきゃとも思った。