エンドレスおままごと。
☆
今から半年ちょっと前。高校2年生の終わりごろ。
お父さんの海外転勤が決まった。
お母さんはわたしと中学生の弟を連れて、お父さんについていくと言った。
『わたしは行きたくない! ここに残る!』
『よねこ。気持ちは分かるけど……まだ高校生でしょ? 1人暮らしなんて危険すぎるわよ』
『だって、英語わかんないし、進路も難しくなるし』
『じゃあ北海道のおばーちゃんのところに……』
『嫌だよ! そしたらなおくんと離れ離れになっちゃう!』
困った顔をするお父さんとお母さん。
泣きながら現実に抵抗するわたし。
なおくんとはその時、付き合って1年くらいだった。
当時、高校3年生だった彼は、地元での就職が決まっていた。
制服デートはできなくなっちゃうけど、来年も変わらずなおくんの近くにいれるはずだった。
なのに……どうして?
泣きながら、なおくんに相談すると。
『じゃあ、俺と一緒に住まない?』
『え……?』
『俺、4月から1人暮らしするから』
『…………』
『よねこ。一緒に暮らそう』
真剣な顔で、彼はそう言ってくれた。
物件探しにはわたしも連れて行ってくれた。
いい部屋なんだけど高いよなー。ここスーパー近いしいいんじゃない。
そんな何気ない会話の合間。わたしが、
『なんか新婚さんみたいだね』
と伝えると、なおくんは照れた顔で手を強くつないでくれた。
わたしも同じくらいの力でぎゅっと握り返した。