い ち る に 群 青
海の子と森の子
沈む太陽
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空の色を写し永遠と続く水面は、刻々と姿と色を変えていく。青く澄んでいた時を経て、今はもう黄に染まり橙に染まる。あと数分もすれば赤へと変化し……終いには夜の黒に埋もれていくのかと思うと、形容しがたい哀しさを覚えた。
綺麗な海。
穢れのない、清らかな。
人に寄り添い人が寄り添う。人間と彼等(海)の関係はとても密接なもので、互いに害を為してもなお、切れぬまま。人は進化し海は変わらぬ姿でそこにある。
海は恵みをくれるのだから、私達も彼等に等価として祈りを捧げる。至極真っ当で、何ら矛盾のないシステムの中に、私もまた祈る側としてその身を置いていた。
「———明日は海が荒れる、」
潮の香りと一定の波の音がする。遠くから海鳥の鳴く声も。片足を微弱に動かせば砂利が擦れ、ローファーから粗い地面の感触を感じ取った。
岬の高台の、そのまた端っこ。あと数歩前に出れば真っ逆さまに落ちる程の高さで、海の空気を肺に吸い込み吐き出した。同時に、感じたピリつきに思わず眉を顰めた。