恋という名の青春を。
伝えられなかった言葉
俊サイド
日は過ぎて、夏休みは終わった。
今日から学校。
あぁ早く日向さんに会いたい。
生まれて初めて学校が楽しみなんて思ったな。
「和ー!おはよー」
俺たちは、今でも友達をやっている。
前になんか日向さんのことで気まずくなったけど、次の日には、和も俺も普通に喋っていた。
「おー、はよ俊」
だるそうに返す和。
そして次の瞬間、俺は気絶しそうなくらいな事実を知った。
「えー⁉︎まじで怜衣引っ越しちゃったのー⁉︎」
廊下をすれ違うとき、女子の言葉が鮮明に響いた。
…は…?今なんて言った…?
え?日向さんが、引っ越した?
ーガシッ
「日向さんが引っ越したって、…ほんとなの…⁉︎」
すれ違い様、俺はその女子の腕を掴んだ。
「えっ?////俊君じゃん。////れ、怜衣のこと?////なんか先生に聞いたら、引っ越したって言ってたけど////」
その女子は顔を真っ赤にして言った。
うそでしょ…?ほんとに引っ越しちゃったの…?
「まじで怜衣引っ越したの⁉︎俺、ずっと好きだったのにー!」
「そう言えば私たち夏休みも全然会ってないし!」
「ほんとに急だったよねー!」
「俺たちの天使が…」
遠くで女子と男子の悲鳴が聞こえる。
俺はもう言葉を発す気力もないくらいに呆然としてた。
なんで、なんで、なんでなんだよ…。
もう一回会いたかった。
会ってもう一度話したかった。
もう会えない…。
もう話せない…。
俺は急いでトイレに駆け込んだ。
「…うぅ…。なんでだよ…うっうぅ」
個室にこもって一人で泣いた。
居なくなって初めてわかった。
「好きだったんだよっ…日向さん…」
俺の声はとてもとても、小さく弱い声だった。