恋という名の青春を。

伝えられなかった言葉


俊サイド





日は過ぎて、夏休みは終わった。



今日から学校。


あぁ早く日向さんに会いたい。



生まれて初めて学校が楽しみなんて思ったな。




「和ー!おはよー」



俺たちは、今でも友達をやっている。


前になんか日向さんのことで気まずくなったけど、次の日には、和も俺も普通に喋っていた。




「おー、はよ俊」


だるそうに返す和。




そして次の瞬間、俺は気絶しそうなくらいな事実を知った。



















「えー⁉︎まじで怜衣引っ越しちゃったのー⁉︎」






廊下をすれ違うとき、女子の言葉が鮮明に響いた。










…は…?今なんて言った…?


え?日向さんが、引っ越した?



ーガシッ



「日向さんが引っ越したって、…ほんとなの…⁉︎」




すれ違い様、俺はその女子の腕を掴んだ。




「えっ?////俊君じゃん。////れ、怜衣のこと?////なんか先生に聞いたら、引っ越したって言ってたけど////」





その女子は顔を真っ赤にして言った。



うそでしょ…?ほんとに引っ越しちゃったの…?



「まじで怜衣引っ越したの⁉︎俺、ずっと好きだったのにー!」

「そう言えば私たち夏休みも全然会ってないし!」

「ほんとに急だったよねー!」

「俺たちの天使が…」



遠くで女子と男子の悲鳴が聞こえる。



俺はもう言葉を発す気力もないくらいに呆然としてた。




なんで、なんで、なんでなんだよ…。


もう一回会いたかった。


会ってもう一度話したかった。


もう会えない…。


もう話せない…。




俺は急いでトイレに駆け込んだ。



「…うぅ…。なんでだよ…うっうぅ」



個室にこもって一人で泣いた。






居なくなって初めてわかった。







「好きだったんだよっ…日向さん…」








俺の声はとてもとても、小さく弱い声だった。

















































< 11 / 15 >

この作品をシェア

pagetop