恋という名の青春を。
放課後になり、今まで忘れていた日直の仕事をするために歩羽くんを呼んだ。



回収した課題を抱えて、職員室に二人で向かう。


「歩羽くんって色々大変だよね」


なんとなく気まずい空気だったから思い切って話しかけた。



「えっ…?…あ、うん。でもね、」


歩羽くんはふわりと微笑んで、










「僕、この自分嫌いじゃないよ」







はっきりとそう言った彼に俺は驚いた。



てっきり彼も自分の容姿は好きじゃないと思っていた。



俺のように。



「なんで…?嫌じゃないの…?」


だって、そうでしょ?

容姿だけで色々言われて、君は嫌じゃないの…?



「僕は、ナルシストってわけじゃないけど、今の自分が、好きだよ」


「!」


「高橋君は自分が嫌いなの?」


「え…」


「あっ、ごめん。僕ったらつい。…でもね、僕はありのままの自分でいたいんだ。自分が自分であるように」


「でも、歩羽くんは…」


「もちろん、知ってるよ」


俺の言葉を遮って言った歩羽くんの声はどこか強そうだった。


「僕が男子から嫌われてるのは、もちろん知ってる。それは女子が原因なのも」


「じゃあ…なんで…」





「それが、僕だから」



「っ!」



なんで、なんでこんなにも、彼は強いのだろう。


俺は怖い、怖くてしょうがない。

人から嫌われるのが。

信頼してる友達が離れていくのが。

だから、自分を隠しているのに。




すごいな…。



正直、そう思っていた。



「高橋君?はやく職員室に行こ?」


歩羽くんの声でハッと我に返った。


そして職員室の前に来たが、俺も歩羽くんも両手がふさがっていてドアを開けられない。


一旦荷物を下に置こうとしたとき、ガラッとドアが開いた。


「うおっ」


危うくぶつかりかけたその人は低い声を出してそう言った。


「あー、ごめん!ほんとごめんね!」


その声の主は、女子男子関係なくみんなの人気者の先生。


日向 携【ヒナタ ケイ】


年は25歳だったかな。


「いえ、すいません」


「いやーすまんねー」


ニコニコしながら謝る日向先生。


日向先生は顔がカッコいいのも特徴だけど、もう一つ特徴がある。


それは、私服のセンスである。


それはそれは、ほんとーっにダサい。


今の服なんて、黒板消しの絵が描いてあるパーカーを着てるし。いや、もはやどこで買ってんのか不明だし。



まぁ、それはともかく、なーんか怪しいんだよね…。


日向さんと、日向先生って、顔がどことなく似てるんだよね。


はっΣ(・□・;)もはや!親子⁈


なーんてね。


そんな漫画みたいなことなんてあるわけないし。






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