◆中学生物語◆
「…あのさぁ、この前も言ったけど、まだチャンスがないワケじゃないんだよ?もう手紙も書いちゃったし…。…もしかしたら、返事来るかも…」



そうやって、桃子はあたしに希望をちらつかせようとした。



…けど、今のあたしに、希望の光は一切見えてこなかった。



「…どーしよ……」



□□



―キーン、コーン、カーン、コーン……



完全登校時刻になった合図のチャイムが鳴った。



…もうみんな、既に教室の中に入っている。



…けど、翔太と優歩だけの、姿は見当たらなかった。



(…2人してまたどっか行ってんのかなぁ…もうチャイム鳴ったのに)



あたしはのん気に、そんなことを考えていた。



…これから起きることが予測できずに。
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