◆中学生物語◆
…わかんないよね。意外にも、あたしの好きな人って平凡じゃなくて、あっち系の人なんだ。



所属は野球部。足も速い。小学校のときの運動会の選抜リレーには、いつも選ばれていて、頭は悪いが性格は面白い。けどときどき腹が立つ。



そして……カッコよくてイケメン。(面食いのあたしからすると)



名前は…小川 翔太。



…でも、きっとあっち系の人って、よくカレカノとかやってたりするから、絶対彼女いるのかなって思う。



だから…好きでも、遠くから眺めているだけでしかない。



でも……そんなあたしにも、どうやらひとひらのチャンスが舞い降りてきたらしい。



―席替えも終わり、みんな席に着いてるのにさっきよりも騒がしくなった気がするこの教室。



あたしは、そっと隣を見た。



すると……



(…!!嘘ッ!!あたしの隣…翔太!?)



あたしの隣は…憧れの、好きな人だった。



信じられない…好きな人となんて、初めて隣になった…。



あたしは急に恥ずかしさが込み上げてきて、すぐに視線を脇に逸らした。



…赤くなっている顔を、見られたくなかった。



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