◆中学生物語◆
あたしたちも、優歩のその言葉と態度が、信じられなかった。



「え~だって、南だってそう思うでしょ~」



緩い明るみな表情で言う優歩のその態度に、南ちゃんは少し苛立ちを覚えたかのように見えた。



あたしたちは、その状況に息を呑む。



「そんな……そんな軽がるしく言っちゃダメだよ、優歩……」



南ちゃんは、静かに下を向いてそう言った。



「翔太は…きっと今ものすごく辛いよ…。だって、昨日あたしたちと遊んだあとにお父さんが交通事故に遭っちゃったんでしょ…?それってつい何時間前のことだよ?優歩がそれじゃ…翔太がかわいそう…だよ…」



少し声を震わせながら、南ちゃんが言う。



優歩や他のみんなは、それをただ黙って聞いていた。
< 49 / 138 >

この作品をシェア

pagetop