◆中学生物語◆
―ふと気がつくと、もう3時間目になっていた。



教科は1番嫌いな社会。眠くなってしまうのは当たり前。



ノートを写そうと、机の上に目を向けると、無造作に広げられたくしゃくしゃの紙があった。



(何これ…?なんか、字が書いてある…?)



そうしてあたしが、何かが書いてあるように見える紙を思い切りガン見していると、隣からなにやら肩をコツンとされた。



あたしは恐る恐る振り向く。



「おい、みずき。その紙よこせ」



“みずき”



…翔太に名前を呼ばれたのなんていつ振りだろう。



多分…小6のとき以来だ。



久しぶりだなぁ…。なんか、好きな人に名前言ってもらえるなんてすごくいい気分。



あたしはすっかり、紙の内容のことなど忘れてあっさり翔太に紙を渡した。



「サンキュ」



そういって翔太は、その紙に何かを書き加えてそれを右隣の女子に手渡した。
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