◆中学生物語◆
「…優歩がそんな子だなんて思ってなかった」



…そう言って、南ちゃんは小走りで教室から去っていった。



すると、他のみんなもぞろぞろと優歩から離れ始めた。



男子と遊ぶものもいれば、南ちゃんに着いていく人もい、中には優歩に同情する人もいた。



あたしたちは、ただただその光景を見ているに過ぎなかった。



―翔太は、今どこでどんな気持ちなんだろう…。



きっと…南ちゃんが言ったように辛いのかな。



…そりゃそうだよね。お父さんが亡くなっちゃったのに…。



あたしは、ふと桃子を見た。すると、桃子は何かを思いつめているような表情をしていた。



「…桃子…?」
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