◆中学生物語◆
…部活が終わった後、あたしはすぐに桃子のところへ駆け寄った。



「…桃子ォ~!!」



「…みずき」



すると、桃子はまだ昼休みのときのテンションのままだった。



いつも姿勢のいいはずの凛々しい背中が、今は丸くどんよりとしている。



「桃子…ホントどうしたの?」



「…え?何が?」



「何がって…さっきからずっとその低いテンションのままじゃん」



あたしは、桃子に何でそんななのか、聞くことにした。



「あ~…うん…。そんな大したことじゃないから」



そう言って桃子は、そそくさと今日結局使わなかった傘を手に取って玄関を抜けた。
< 55 / 138 >

この作品をシェア

pagetop