◆中学生物語◆
「大したことじゃないって…気になるじゃん!!」



「気になんないでよ」



「気になる!!」



あたしは、どんよりとしている中で冷静沈着な桃子を前に、真剣な表情を見せた。



…それでも、一向に話す気配はなかった。



あたしたちは、そのまま黙って一緒に歩き始めた。



あたしは、桃子が一歩、一歩と踏み出すたびにあたしもそれに釣られるように一歩、一歩と慎重に歩いた。



桃子が喋り始めるのを待ったけど、そんなことはなく、やがて桃子の家の前に辿り着いてしまった。



あたしが、何も聞けなく終わってしまうのか…と、心の中でふと諦めていると、桃子の堅かった口が突然開いた。

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