◆中学生物語◆
その大声に、口元で人差し指1本構えた桃子は、そのまま続けた。



「…ウチ、わかってるんだからね。みずきに好きな人いるってことくらい♪」



「えッ…い、いないよぉ…」



あたしの少し赤らんだ頬に気づいたのか、桃子はもっと疑い深くなる。



「…どーなの。言わないと、こっから返さないぞ」



するとまた今度は、何やら不敵な笑みを浮かべた桃子。



あたしは、自分でもどんどん顔色が変化していくのがわかる。



ずいずいと顔を近づけられるのと同時に、桃子の疑い深さが増してきた。



(どーしよ…いくら桃子でも、翔太が好きなんて…言えないよ…)



あたしはとっさに目を閉じた。
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