◆中学生物語◆
―何も無い、暗闇の中で、ただただ浮かんでくるのは翔太の無邪気なあの笑顔だった。



…今、お父さんが亡くなったことで、その笑顔を失ってしまってはいないか、もうあの笑顔を見れないんじゃないかって、不安でたまらない。



翔太が自分のものにならないってわかってても、やっぱり嫌なんだ。



好きな人の笑顔を失うのは。



あたしが優歩なら……



“…ウチ…翔太と別れようかなぁ”



“親が死んじゃった男と付き合うとか…ちょっと荷が重くない??”



…絶対、そんな無責任なこと…言わない。



『ゆーほアイシテル』



せっかく両思いなのに…もったいないよ。愛されてんのに、もったいないよ。



ホント…もったいない。
< 60 / 138 >

この作品をシェア

pagetop