◆中学生物語◆
「え~?何で??優歩と付き合うとか、絶対遊びでしょ、あれ。それに“好みの女”と“好きな奴”は、同じ意味だと思うけど?」



桃子は、確実だと断言しているけど、あたしはあの落書きを見ちゃったから、もうそんな自信ないんだ。



『ゆーほアイシテル』



…あれは、絶対優歩と付き合ってて幸せに満ちた翔太の字だった。



…もう、あたしにチャンスなんてものは残されていない。



きっともうどんなに翔太に手を伸ばしたって、届きはしない。



あたしの手じゃ、もう届かない。



翔太は最初からあたしにとって、手の伸ばしようがない奴だった。



だから、どんなに想いを寄せていても、どんなに一緒にいたくても、無理な存在だった。



…遠くから眺めてるだけで、よかった。



それに、今の翔太に声をかけてやれるほど、あたしは強くないから。



…もう、何もかも自信がない。



何も言わないあたしに、桃子はふぅ~っとため息をついた。
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