◆中学生物語◆
―その晩、あたしは寝る間も惜しんで必死に手紙を書いた。



…最初は何を書いていいかわからず、考えるだけで何も書かなくて1時間くらい時間をつぶした。



始めてから1時間ほどすると、自然と最初はこうでいいのかな、なんて適当に書いてみたりした。



「えぇっとここはこーして…あーもう!!文が変になってる!!」



あたしは、我ながらいつもボサボサな髪の毛を、もっと弄繰り回していた。



書いては書き直し、書いては書き直し……。



…よくマンガやドラマなんかで、手紙なんか書いてたりすると、部屋中にくしゃくしゃに丸められた紙が落ちているが、あたしは違う。



あたしは、たった1つしかない、桃子からもらった紙切れで、何度も書き直していた。



…この紙じゃなきゃ、なんか意味がないような気がして。

< 71 / 138 >

この作品をシェア

pagetop