◆中学生物語◆
…今日は桃子のおかげで、あっちのグループの状況が少し掴めた。



…まぁ、掴んだところでどうこうなるわけでもないけど。



―キーン、コーン、カーン、コーン……



予鈴のチャイムが誰もいない教室に鳴り響いた。



あたしは、静かにその音を聞いていた。



次の時間は体育。だけど運動音痴なあたしは体育が大嫌いなため、休む。



それに比べてテニス部の桃子は運動大好き。女子では3番目に足が速い。



…もう秋の季節。この時期の体育では長距離が行われていた。



…いいよなぁ。運動できる人って。桃子、絶対モテるよ。



それに比べてあたしは……全然ダメだ。



運動もできないだけに、なんの取り柄もない。



―そんなことを1人思いつめていると、突然、誰も来ないはずの教室のドアが開いた。

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