◆中学生物語◆
「アイツッ……バカじゃねぇの!!最後の野球の試合よりッ、あっちを選ぶってのかよォ!!」



結果は、0-3で圧倒的に相手チームの勝利だった。



…期待のエースだった4番の裕也は、俺たちの場所から去っていった。



俺は、あの最後の試合の次の日。裕也に聞いたんだ。



『なんで昨日、野球よりバスケを選んだんだ』って。



…そしたら、裕也超キレてさ。『俺だって野球の試合出たかった!!』…って。



俺はそのとき、裕也の事情の何もかもを知った。



大好きな野球を親父に内緒でしていたことも、親父から無理矢理バスケやらされてたことも。



…そんで俺、もう1つ『中学で何部に入るんだ』って聞いた。したらさ、



『バスケ』ってアイツ、重苦しい言葉で言ったんだよ。
< 85 / 138 >

この作品をシェア

pagetop