◆中学生物語◆
…アイツは、とっくに夢を逃した親父の……期待の星だったんだ。



アイツは親父に……夢を託されたんだ。だから、あんなに真剣に、大好きな野球も手放してバスケやってんだよ。



…それ見てると俺、自由に野球やってヘラヘラしてる自分に腹立ってさ。



けど、裕也に『このことは誰にも言うな』って言われてたから、裕也にものすんげぇ腹立ててるタケにも、どうしても解きたかった誤解を未だに解けないでいる。



―そんな小学校最後の野球の試合が終わって2日目。



俺は、みずきって奴に、突然声をかけられた。



そいつすげぇ真顔で言ったんだ。



『野球やんないの』って。



俺は、そんとき、裕也の件で野球をやる気さえ失せてた。



昼休み、誰とも遊ばない、野球もやらない俺に、みずきは希望をくれた。


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