『lastday』
「では、薬を出しておきます。」

「はい。ありがとうございました。」

「失礼します。」

泣き止んだお母さんと一緒に診察室を出る。

会計を待っている間も、薬を待っている間も、お母さんは黙ったまま。

車に乗って、お母さんは話し出した。

「葵、お母さんもう泣かない。」

「お母さん…。」

お母さんは笑って見せた。

でも、その笑顔はやっぱり無理をしているようにしか見えなかった。

「お母さん、一つ、お願いいい?」

「なあに?」

「茜達には病気のこと黙っててほしいの。」

「え、でも…。」

「いいの。何も知らずに、今まで通り接してほしいの。心配かけたくないしね。」

「そう。分かった。」



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