トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
結局、3人分には十分過ぎるほどの食材を抱えて篤さんの自宅に到着した。


大きな地下駐車場からゲートを抜けてエレベータに乗ると、カードキーをかざした階以外には停まれない造りになっている。


「わぁ、凄いマンションですね。テレビで紹介されそうな芸能人のおうちって感じ……!」


「あはは。すげー無邪気なリアクションだな。一応、芸能人だもん。


っていうか、君のお兄さんも芸能人だけど。


映画の公開後は、拓真も今みたいには出歩きづらくなるんじゃないかな。」


「そうなのか!?困ったな。」


「拓真は色々と自覚無さすぎなんだよ……。」


篤さんが扉を開けると、広々とした玄関に通される。


「お、お邪魔します。」


「そんなかしこまらなくていいよ。あがって。」


目の前には足を踏み入れるのを躊躇するほど、キレイで広々とした空間が広がっていた。


落ち着いた内装に、北欧調の家具がセンス良く配置されている。大きな窓からは東京タワーが見下ろせた。


兄も「凄い部屋だな」と驚いた様子で辺りを見渡しつつ、食材をキッチンに運んでいる。
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