トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「昨日、警察に通報すれば情報を拡散すると脅迫が来た。」
それは私も知らない事だった。
拡散?
盗聴器の音声を?
どんな会話を聞かれていたのかと考えているうちに胃が気持ち悪くなり、視界が歪む。
「…………っ」
「瑞希、大丈夫だ。そんなことはさせないから。」
兄がキッチンから駆けつけて私の肩を強く掴んだ。その時初めて、自分の体が震えていると気付く。
「これは相手が警察を恐れてる証拠だ。捜査が始まれば犯人はすぐに突き止められる。
それまで盗聴器を外したり、捜査してることが解るような音声を聞かせなければ、問題ない。」
そうなのかな……。
兄がそう言うなら、間違いはないはず。
それでも、沸き上がる恐怖心に勝てる気がしない。
「……ちょっと待って、その前に試してみたいことがあるんだけど。」
何やら考え事をしていた篤さんが口を開く。
「何だ?」
問い返す兄に、篤さんは口の端をつり上げてにやっと笑って見せる。それは悪巧みという言葉がぴったりの笑顔だった。
「釣ろうぜ、そいつ。」
それは私も知らない事だった。
拡散?
盗聴器の音声を?
どんな会話を聞かれていたのかと考えているうちに胃が気持ち悪くなり、視界が歪む。
「…………っ」
「瑞希、大丈夫だ。そんなことはさせないから。」
兄がキッチンから駆けつけて私の肩を強く掴んだ。その時初めて、自分の体が震えていると気付く。
「これは相手が警察を恐れてる証拠だ。捜査が始まれば犯人はすぐに突き止められる。
それまで盗聴器を外したり、捜査してることが解るような音声を聞かせなければ、問題ない。」
そうなのかな……。
兄がそう言うなら、間違いはないはず。
それでも、沸き上がる恐怖心に勝てる気がしない。
「……ちょっと待って、その前に試してみたいことがあるんだけど。」
何やら考え事をしていた篤さんが口を開く。
「何だ?」
問い返す兄に、篤さんは口の端をつり上げてにやっと笑って見せる。それは悪巧みという言葉がぴったりの笑顔だった。
「釣ろうぜ、そいつ。」