トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「つまり、どういうことなんでしょう?」


まだ篤さんの意図が読めずに聞き返した。


「つまり、俺とデートしよう。」


「デート!?」


「うん。話は単純だよ。盗聴器に場所と時間を報せて、俺たちは楽しくデートを満喫する。


どうせ盗聴器と一緒にGPSくらい付いてるんだろうし、犯人が俺たちに近づくのは簡単だ。


俺のファンなら、俺の前で瑞希ちゃんに何かすることも無いだろうし、何かあっても俺が側にいるから。


で、後を付けるような人が居ないか拓真が見張って犯人を特定する、と。」


篤さんがニヤッと笑って兄に「頼んだよ」と付け加えた。


「お前なぁ……簡単そうに言うけど、そんなに上手く行くか?」


「一回で犯人を見つけられなくても、楽しいデートを繰り返せばそのうち見つけられるだろ。」


「そんなこと何回もさせられるかよ。


……それにしても篤は、何か企んでるときが一番生き生きしてるな。」
< 107 / 235 >

この作品をシェア

pagetop